著者
滝川 一廣
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.1-8, 2019 (Released:2020-01-24)
参考文献数
5
被引用文献数
1

〈児童虐待〉の増加や深刻化が一般報道ではもちろん専門家の論説でもよく語られ、現代の社会通念となっている。〈虐待〉が深刻な問題なのは論を待たない。しかし、本当に実数的に増えているか、内容の深刻度が増しているかについては、別の検討が必要となる。本論文では、増加や深刻化が進んでいるとは安易に言えず、むしろ逆の可能性すらある事実を検証する。この事実にも拘わらず「増加」「深刻化」が社会的に疑われないのは、厚労省が毎年公表する「虐待相談対処件数」が増加の一途のためであろう。しかし、誤通告も多く含まれる「相談件数」だけでは増減は分からず、対処して実際に〈虐待〉と確認された「実数」こそが重要である。ところが厚労省は何故かその数字を明らかにしない。日本の「虐待対策」は「実数」という基礎データを踏まえないまま進められている。本論文では、そうなった理由についても若干の考察を試みる。
著者
滝川一廣著
出版者
日本評論社
巻号頁・発行日
2013