著者
濵島 美穂 中野 広美 若杉 明里 潟永 大輔 萱島 涼子 松島 文子
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.250-254, 2019 (Released:2019-11-20)
参考文献数
2

高齢者施設ではどのように栄養管理を行なっているのだろう。地域包括ケアシステム1)の中で住み慣れた地域での生活を目指してリハビリテーション(以下、リハビリと略)を行う場は集中治療室(intensive care unit;ICU)や急性期病棟だけでなく、回復期病棟であったり、介護老人保健施設(以下、老健施設と略)であったり、自宅であったりと必ずしも医療機関だけではない。高齢者施設とひとくちにいっても介護医療院、老健施設といった医師が常駐して医療を提供できる施設もあれば、住居としての性質を持つ有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、シニア向け分譲マンションなどもあり、制度の異なるいくつもの施設を包含している。本稿では主に老健施設におけるNST活動について述べるが、周知の通り、老健施設は介護報酬で運営するため、提供する医療も栄養管理もすべて“まるめ”で行うことになっている。栄養サポートチーム(nutrition support team;以下、NSTと略)加算のような診療報酬上の裏付けは一切ない。在宅生活、在宅療養に向けた支援を行う上で必ずしも病院から老健施設、在宅生活へとシームレスに移行できない理由がここにある。医療機関とは全く異なる仕組みでNST活動を行うことには様々な制約がある中で、キーとなるのはやはり多職種によるアセスメントとマネジメントである。NSTと摂食機能訓練を合体させたような栄養会議(nutrition congress)を発足させた我々の歩みを紹介する。医療機関のNSTとは若干異なるため上記の英語タイトルとした。