著者
澁谷 昌史
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.123, pp.159-171, 2011

子ども虐待への対応は、起きている現象をどのように認識するかということと不可分である。本研究は、子ども虐待認識にかかる主たるイシューを歴史的にたどり、明確にし、以って認識のウロボロスを切断していく実践的な試みである。研究の結果、今では虐待とされる現象を社会的な介入の対象とみなすかどうかをめぐって、以下の3つのイシューの存在が確認された。1子ども虐待の性格付けに関する学際的協力関係に関する混乱、2科学的虐待概念と社会常識との対立、3子どもの「安全」と「福祉」の対立。本稿の最後では、これら研究成果を踏まえた上で、我が国の子ども虐待防止へ示唆されるものについて議論を行った。