著者
澤山 恵波
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.143-146, 2018 (Released:2019-11-01)
参考文献数
14

電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)の作用機序は未だに明らかにはなっていないが,難治性のうつ病でもその8割が改善を示す効果的な治療である。しかし乱用の歴史に伴う拒絶反応から感情的な議論が先に立ち,その手技の是非についての議論は先送りされてきた。日本では2002年パルス波治療器が認可され,徐々にではあるがECTにおいても治療の質が問われる時代になってきている。治療の質とは効果だけでなく,安全性や倫理面での配慮も含まれるが,今回我々は特に治療効果に影響を与える1.適応疾患,2.抗けいれん作用のある薬の漸減中止,3.刺激用量の設定,4.発作波の評価,5.閾値上昇への対応,6.術後回診,7.継続・維持ECTについて総論的に示すとともに,当院における取組を紹介する。