著者
小熊 麻子 澤部 琢哉
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.20-27, 2013-03-30 (Released:2015-08-31)
参考文献数
11

目的:関節リウマチ(RA)に対する生物学的製剤療法において,効果不十分例に対しミゾリビン(MZR)パルス療法を行い,その有効性を検討すること. 対象・方法:当院にて生物学的製剤導入するも効果不十分であった8例(全例女性)に対して毎週のMTX内服日にMZRを同時に内服する投与法(MZRパルス療法)を併用し,その効果を圧痛関節数,腫脹関節数,ESR,CRP,DAS28-ESR,DAS28-CRP,SDAI,CDAI,患者VAS,mHAQ,RF,MMP-3,ヘモグロビンで評価した.またMZR血中濃度との関連についても検討した. 結果:投与開始後24週時点において,圧痛関節数,腫脹関節数,ESR,CRP,DAS28-ESR,DAS28-CRP,SDAI,CDAI,患者VAS,RFの有意な改善を認めた.MZR血中濃度は平均1.27±0.58μg/mlであり,血中濃度が0.12~0.49μg/mlと低かった1例については,臨床効果も不十分でありMZRの増量が必要であった.明らかな有害事象は認められなかった. 結論:生物学的製剤抵抗性のRAに対しMZRパルス療法を行い有意な疾患活動性の低下が見られ,明らかな有害事象は認めなかった.生物学的製剤抵抗性のRA例の治療において,MZRパルス療法の追加は有効な選択肢の一つとなりうる.