著者
濱崎 克己 Hamasaki Katumi
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉醫學會雜誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.555-572, 1943-05-28

著者は健常白色家兎眼結膜を瞼結膜(穹窿部を含む)球結膜(角膜輪部より約0.5cmに亘る區域)瞬膜等に三大別し,之等結膜擦過塗抹標本を主としてギームザ液にて染色し,50頭中15頭30%の結膜上皮細胞内に末だ報告記載のない注目すべき1種の顆粒小体を發見した。本顆粒小体の基本型は球形をなし,大きさは染色標本上では約0.3-0.7μの間にあり,1個の上皮細胞内に於ける數は僅かに數個に過ぎないものもあるが通常は多數に見られ包括体に似た像を呈する場合がある。ギームザ染色にては核に似通った色を取るがどちらかと言へは核よりは赤味が勝ち濃染する事が多い,而してアセトン,1%又は2%醋酸水等にて褪色せず,又稀苛性加里液,炭酸曹達液等にて處置しても再染可能である。フォイルゲンの核反應染色に依っては本顆粒小体は染出されない。グラム染色は陰性である。中性赤ヤーヌス綠を以てする超生体染色では本顆粒小体は幾分光線を屈折し光って見えるが染色されない。本顆粒小体は瞼結膜に最も多く,次で球結膜,瞬膜の順に檢出された。本顆粒小体は從來認められてゐるHalber-stadter-Prowazek小体,肥胖細胞顆粒,粘液細胞顆粒,角質顆粒,絲粒体,細胞核の崩壊物,Russel小体,硝子滴變性顆粒等とは鑑別し得るものである。本顆粒小体の本態に關しては尚ほ今後の研究に待つところが多い。新字体抄録:著者は健常白色家兎眼結膜を瞼結膜(穹窿部を含む)球結膜(角膜輪部より約0.5cmに亘る区域)瞬膜等に三大別し,之等結膜擦過塗抹標本を主としてギームザ液にて染色し,50頭中15頭30%の結膜上皮細胞内に末だ報告記載のない注目すべき1種の顆粒小体を発見した。本顆粒小体の基本型は球形をなし,大きさは染色標本上では約0.3-0.7μの間にあり,1個の上皮細胞内に於ける数は僅かに数個に過ぎないものもあるが通常は多数に見られ包括体に似た像を呈する場合がある。ギームザ染色にては核に似通った色を取るがどちらかと言えは核よりは赤味が勝ち濃染する事が多い,而してアセトン,1%又は2%醋酸水等にて褪色せず,又稀苛性加里液,炭酸曹達液等にて処置しても再染可能である。フォイルゲンの核反応染色に依っては本顆粒小体は染出されない。グラム染色は陰性である。中性赤ヤーヌス緑を以てする超生体染色では本顆粒小体は幾分光線を屈折し光って見えるが染色されない。本顆粒小体は瞼結膜に最も多く,次で球結膜,瞬膜の順に検出された。本顆粒小体は従来認められてゐるHalber-stadter-Prowazek小体,肥胖細胞顆粒,粘液細胞顆粒,角質顆粒,糸粒体,細胞核の崩壊物,Russel小体,硝子滴変性顆粒等とは鑑別し得るものである。本顆粒小体の本態に関しては尚ほ今後の研究に待つところが多い。