著者
内山 朋規 濱田 将光
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.31-54, 2007-03-31 (Released:2018-12-07)
参考文献数
28
被引用文献数
1

個別銘柄データを用いて,わが国の普通社債のクレジットスプレッド変化やリターンのクロスセクションにおける様々な特徴を実証する.結果として,クレジットリスクの低い社債では前月スプレッド変化や国債イールド変化といった割引率が社債スプレッド変化の銘柄間格差に重要な変数である一方,クレジットリスクの高い社債では株価リターンや株価ボラティリティが重要な変数であることを示す.また,クレジットリスクが高い社債ではスプレッド変化にモメンタム効果がある一方,クレジットリスクの低い社債ではスプレッド変化にリバーサル効果があること,さらに,社債リターンには株式市場とは逆のモメンタム効果が観察され,クレジットリスクの高い社債で顕著であることが分かる.また,クレジットリスクの高い社債では,株価が社債スプレッドや社債リターンに先行し,株式市場は社債市場よりも早く情報を価格に反映する傾向があることなども示す.