著者
濱田 貴宏 徳田 いずみ
出版者
金沢大学
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.51, pp.67-83, 2005-10-14

S児は2年保育として昨年4月に入園した当初、着替えを嫌がったり、牛乳タイムの時に自分の座席に座っていられず教師の側にいたりした幼児である。秋の遠足では年長児と手をつなぐのを嫌がってずっと泣いて歩いたり、仲良しランチの際には、グループのシートの中に入るのを頑なに拒んで泣き通したりした。ただ、教師が一緒に手をつなぐと安心するのか、もう片方の手を年長児とつなぎながら、園外保育に出かけられたこともあった。2月、クラス活動として「しっぽとり(鬼ごっこ)」をした時は、自分が鬼になって追いかけることはするものの、追いかけられる場面では、一切動こうとしなかった。そこで、自分をもっと解放するような経験を積んでいくことがS児にとって重要なのではないかと思い、援助してきた。