著者
濵㟢 祐実 塚原 貴子
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1-1, pp.139-146, 2020

本研究は男子大学生の子宮頸がんに対する意識を明らかにすることを目的とした.A大学に在籍する男子大学生1,012名に無記名自記式質問紙調査を実施し,有効回答票307部,回収率39.0%だった. 子宮頸がんを聞いたことが「ある」者は91.9%だった.HPVウイルスに関する知識では6割以上の者が「知らない」と答えており,学年別でも有意差を認めなかった.子宮頸がんは男性も予防に関与で きると思う者は79.5%だった.予防に関する情報では,「治療方法」「性行為における予防方法」「妊娠・出産への影響」に関心があった.がんのイメージと近親者のがん罹患者の有無との関連では「普通- 特別」に有意差(p<0.05)を,「平気-怖い」「近い存在-遠い存在」に有意差(p<0.01)を認め,近親者にがん罹患者がいる者はがんのイメージを「普通」「平気」「近い存在」と捉えていた.がんのイ メージと子宮頸がん予防への意識との関連では,「生きる-死ぬ」「平気-怖い」「近い存在-遠い存在」 に有意差(p<0.05)を,「普通-特別」に有意差(p<0.01)を認め,予防に関与できると思う者はがんのイメージを「生きる」「普通」「平気」「近い存在」と捉えていた.HPVウイルスが男性へ及ぼす影響や男性が媒介者となり女性へ感染させる危険性について教育する必要がある.子宮頸がんに対す る予防意識を高めるために,正しい知識によってがんをポジティブなイメージで捉えることができる教育方法を検討することが課題である.