著者
椎葉 淳 瀧野 一洋
出版者
名古屋商科大学
雑誌
名古屋商科大学論集 (ISSN:13466097)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.89-107, 2010-03

本研究では、ストック・オプションの価値評価に関する問題点について、評価誤差という観点から整理する。ここで本研究における評価誤差とは、評価公式それ自体が取り込むことのできない事由により発生する評価誤差と、評価公式適用者の裁量による評価誤差の2つを意味する。前者については、いくつかの理論研究を概観し、それぞれの評価公式を用いて算出された公正価値にどのくらいの価格差が発生するかを検証する。後者については、これまで米国において行われてきた実証研究にもとづいて、ストック・オプションの評価額の決定に際して、経営者がどのような裁量的行動を行っているかを考察する。