著者
瀨川 結美
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.114, pp.2059, 2020-03-31 (Released:2020-04-07)

日本のデジタルアーカイブは,発見性の向上やシステムのユーザビリティ改善が長年の課題である。特に研究資料の不足により,近年海外における日本研究が退潮傾向にある中,海外ユーザーを視野に入れた対応を進め,これを食い止める必要がある。一方,近年のIIIFの登場や,Adobe社によるFlash player開発の終了告知は,多くの図書館にシステム再構築の必要性を認識させ,先述の課題解決を図る好機と捉えることができる。具体的な対応策を認識するため,筆者は日本への関心が高いポーランドのクラクフに赴き,日本研究に関する学会への参加,関連機関の訪問調査を行った。その結果,日本のデジタルアーカイブは多様な観点から有効な資料と成り得る一方で,ユーザーからはポータルの整備や英語対応が求められていることがわかった。これらに対応しながら,日本のデジタルアーカイブを国際的な交流や研究協力の橋渡しとなる存在に育てていければと考える。