著者
酒井 俊郎 占部 峻輔 瀬尾 桂太
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.333-339, 2016-10-20 (Released:2017-01-20)
参考文献数
31
被引用文献数
3

分散媒となる炭化水素油(オクタン,ドデカン,ヘキサデカン)に植物油(大豆油)を混合すると,界面活性剤などの乳化剤を使用しなくても油中水滴型(W/O)エマルションが分散安定化できることを明らかとした。たとえば,オクタンを分散媒としたW/Oエマルションを乳化剤を使用せずに調製した場合(乳化剤フリーW/Oエマルション),調製直後は乳濁状態であるが2時間経過するとほぼ透明状態となる。つまり,乳化剤フリーW/Oエマルションは調製後2時間程度で油と水に分離する。一方で,オクタンに大豆油を重量分率で0.2混合すると,調製後12時間を経過しても乳化剤フリーW/Oエマルションは乳濁状態を維持していた。さらに,オクタン中の大豆油の含有率が増加すると,乳化剤フリーW/Oエマルション調製後12時間を経過しても乳濁状態はほとんど変化しないことが明らかとなった。また,高級脂肪酸(リノール酸,オレイン酸,ステアリン酸,パルミチン酸)をオクタンに混合しても,乳化剤フリーW/Oエマルションの分散安定性が向上することも明らかとなった。