著者
田島 稔 瀬戸 孝夫
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.150-157, 1970

国土地理院所属の鹿野山測地観測所における地磁気観測業務の一部が房総西線の直流雹化により支障をきたしたため,岩手県水沢市東方に新たな観測所(水沢測地観測所)を設置することになつた.この際,ごく小数の職員で地磁気連続観測を維持できるように,観測器械の改良を下記の如く行つた. (1)従来の地磁気変化の印画紙記録方式を三成分とも電流帰還型の直視方式にし,記録紙取り換えの手間を省いた. この原理は,H,.D,Z三成分変化計の感度試験用ヘルムホルッコイル枠に,もう一組の変化磁場補償用巻線を加えたものである.光源から出た光はmoving magnetの鏡で反射され受光部に入る.受光部はシリンドリカルレンズを2個はり合せたもので,光路が2つに分けられ,それぞれがCdS感光体に入射する.磁場変化によるスポットの変位は,CdSブリッジに誤差電圧を生じ,増幅されてサーボモーターを駆動し,可変抵抗を調整することにより変化磁場を打ち消す電流を得る.磁場変化に対応した電流は標準抵抗を通し,電圧出力としてERB型の多点記録機に記録される. (2)プロトン磁力計によるF,Hの測定を1分ごとに行い,アナログ記録と同時に,ディジタル記録もとることにした.特に観測所業務で従来多くの時間を要した三成分の毎時平均値を自動的に求めるようにするために,プリンターに,1分ごとの値とともに,毎時間の60回分の積算値も印字させるようにした.しかし三成分のうち偏角についてはプロトン方式よりもD変化計をセンサーに使用する方が簡単なため,直視型D変化計(Suspension magnet type)の出力をA-D変換し,プロトンからのF,Hとともに同じ方式で印字させるようにした.印字の最少単位はF,Hについては0.1γまで可能であり,Dは0.1である.またこれらの印字と並行しテープ穿孔装置も取付けが可能になつている. (3)偏角についてはF,Hと異なり絶対値を獲得しているわけではないので,絶対観測室にてGSI型磁気儀による地磁気ベクトルの方向観測を定期的に行ない,変化計の出力電圧に,基線値に対応する半固定電圧を加えることにより,その時々に対応した値の表示と印字,積算を行なつている. 以上の改良により,すべての装置の記録状態を事務室に隣接した記録計室で直視できるとともに,時間平均値の読み取りは半自動化され,少数の職員による観測業務の維持が可能となつた.
著者
瀬戸 孝夫 田中 穣 田島 稔
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1-2, pp.34-39, 1970-08-25 (Released:2011-07-05)
参考文献数
14

Observations of magnetic variations were made by means of portable fluxgate type magnetometers at Akagane (cp = 39°10:6 N, λ =141°20:6 E), Ishibuchi (ψ = 39°06:7 N, A = 140°54:6 E), Yuzawa (ψ = 39°10:2 N, A = 140°29:8 E) and the Mizusawa Geodetic Observa-tory (ψ = 39°06:5 N, A = 141°12:4 E) for the purpose of studying the conductivity anomaly along the east-west line including the Observatory in the Tohoku district of Japan. Using the observed events having the duration time longer than 30 minutes, the ele-ments of Parkinson Vector at four stations are obtained as shown in Table, whose direc-tions are eastward and opposite from those obtained by using the data of geomagnetic micropulsations having the periods of 10-60 seconds. A brief discussion was made about the relation between the conductivity anomaly and the crust and upper mantle structure in the Tohoku district which has typical geo-physical characteristics among circum-pacific island arcs.