著者
錦織 寿 田中 健一 佛淵 のぞみ 瀬戸 房子
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 自然科学篇 (ISSN:03896692)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.17-23, 2012

ドラゴンフルーツ(ピタヤ)は中南米原産のサンカクサボテンの果実で,近年では鹿児島県でも栽培されるようになり,主に食料品として利用されている。また,世界的にも研究が進められており,果実の色の異なる各品種の利用や有効成分の解析が報告されている。その一方,ドラゴンフルーツの色素を利用した染色法の開発についてはほとんど報告されていない。そこで,染色のための色素抽出と羊毛布の染色の検討を行った。本研究では赤紫色の果実をもつドラゴンフルーツ(レッドピタヤ)を用いた。この赤紫色はベタレインという色素により発色されており,赤色のベタシアニン類と黄色のベタキサンチン類に分けられる。検討の結果,アセトンを用いて黄色の色素を抽出した後,蒸留水を用いて短時間で抽出を行うことにより二種類の色素抽出液を分取することができた。また,得られた色素抽出液を用い,酒石で媒染することにより羊毛布を鮮やかな赤紫色に染めることができた。