著者
長谷川 昌弘 藤沢 隆夫 駒田 幹彦 内田 幸憲 灰原 クリスティーナ
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.173-180, 1991
被引用文献数
12

小児気管支喘息患者において, 好酸球中に含まれる顆粒蛋白の一つである eosinophil cationic protein (ECP) の血中濃度を測定し臨床的パラメータ-との関連, 日内変動の有無について検討した. 対象は重症気管支喘息患児89名, 非アレルギー正常小児及び成人16名で, 6, 12, 17, 21, 翌朝6時に血清 ECP, 好酸球数(Eo), 肺機能を測定し, 臨床症状と合わせて検討した. ECP は radioimmunoassay にて測定した. 血清 ECP, Eo ともに非アレルギー群と比較して喘息群で高く特に採血時に喘息発作が認められたとき有意に高値を示した. 発作前後の変動では血清 ECP は発作後24時間まで高値であり, 7日以内に発作前値に戻った. 一方, 一定の日内変動リズムは認められなかったが, 喘息群 (非発作群) では有意に変動幅が大きく, 不安定であった. ECP と採血前2ないし8週間の発作点数の合計, 肺機能とは相関はなかった. 以上より血清 ECP は喘息特にその活動期に高値となり, 好酸球の活性化の状態を反映している可能性が考えられた. 今後, 気管支喘息の臨床評価の一手段として有用であると思われた.