著者
新井 潔 熊田 禎宣
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本都市情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.101-111, 1988-09-20

本研究では、まず選挙制度を評価する枠組を構築した。そして、市長選挙のモデルにもとづきコンピュータ・シミュレーションを実施することにより、市長選挙における選挙人選出制度について、それが有効に機能するための前提条件を明らかにした。これに引き続き、市長に対してアンケート調査を行い、シミュレーション結果の現実的意味について検討した。市長選挙は、市議会議員選挙と比較して、投票者と候補者との直接の情報交流の機会は少なくならざるを得ない。市長と直接話ができる市民は限られている。市長と市民の情報交流を現在以上に高めるために、選挙人による投票の有効性が期待できる。しかし、この場合、選挙人選出選挙における候補者が十分確保できることと、投票者と選挙人の間の情報交流が十分行われることが前提となる。