著者
植村 昌子 熊谷 透
出版者
公益財団法人 竹中大工道具館
雑誌
竹中大工道具館研究紀要 (ISSN:09153685)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.3-19, 2022 (Released:2022-03-20)
参考文献数
10

本稿は一乗谷朝倉氏遺跡出土の建築部材13点の加工痕について調査した結果を報告するものである。その概要は以下の通りである。 ⑴敷居の溝は、小刀形状の道具で溝幅を定め、ノミで掘って形成されたと考えられる。溝挽鋸は使用されなかった可能性が高い。⑵製材はオガによる方法が主体であったと考えられるが、小さな部材は小割り用の縦挽鋸が使用された可能性がある。⑶材面の切削は、製材段階では斫り用の縦斧が使用され、次の段階で横斧(チョウナ)が使用されたと考えられる。⑷木口面は横挽鋸かノミによって切断される。