- 著者
-
渡邉 昌
- 出版者
- 公益財団法人 竹中大工道具館
- 雑誌
- 竹中大工道具館研究紀要 (ISSN:09153685)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, pp.1-33, 2000 (Released:2022-01-31)
- 参考文献数
- 30
約4,000年前の出土建築部材の調査と復元実験の結果、縄文時代の建築用主要道具に関して、次のように要約するこができる。
(1) 約4,000年前に高床建築が存在していた。
(2) 高床建築の部材は、ホゾ・ホゾ穴などの仕口によって接合されていた。
(3) 建築用材は、ほとんどがクリ材であった。
(4) 約4,000年前の建築部材は、蛇紋岩磨製石斧によって加工されたと考えられる。
(5) 伐木段階では、縦斧形式の大型石斧が主要な道具であった。
(6) 製材段階では、縦斧形式の大型石斧、木製クサビ、横斧形式の大型石斧が主要道具であった。
(7) 建築部材加工段階では、縦斧・横斧形式の石斧と石鑿とが主要道具であった。
(8) 巨木柱を主体とした軸組を建て起こすためには、多くの人数を必要とした。
(9) 今回の復元実験で、縄文時代の建築部材加工に、石鑿が重要な役割を果たしていたことが明らかとなった。