著者
片山 晶博
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.37-48, 2018-04-30 (Released:2018-05-24)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

我が国では「保険医療機関及び保険医療養担当規則」第18条の規定「保険医は,特殊な療法又は新しい療法等については,厚生労働大臣の定めるもののほか行ってはならない」としており,国内で承認されていない医薬品・医療機器等を使用する場合には原則として保険診療では実施できない。例外として,保険外併用療養費制度が存在し,その枠組みの中に治験や先進医療といった評価療養が存在する。一方で,このような既存の制度では最先端の医療技術・医薬品等への迅速なアクセスが困難な患者が一定程度存在し,そのような患者が先進的な技術等へのアクセスを確保できるよう,2016年より「人道的見地から実施される治験」や「患者申出療養」といった新たな制度が施行された。これらの制度が開始されて1年以上が経過しているが,それぞれの制度の概要を説明した上で,両制度の現状及び課題等について言及する。