- 著者
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片山 謙一
森尾 保徳
芳賀 慶一郎
福田 武美
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.105, no.6, pp.461-468, 1995-06-01
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
-
10
消化管運動賦活調整薬であるシサプリド(cis-4-amino-5-chloro-N-[1-[3-(p-fluorophenoxy)propyl]-3-methoxy-4-piperidy1]-o-anisamide)のセロトニン(5-HT)<SUB>4</SUB>受容体への親和性を,モルモット脳線条体を膜標品とする<SUP>3</SUP>H-GRIl3808結合試験を用いて検討した.<SUP>3</SUP>H-GR113808は解離定数(Kd値)0.21±0.009nM,最大結合量(B<SUB>max</SUB>値)162±7.7fmol/mgタンパクで単一結合部位に結合した(Hill係数1.0±0.03).しかし,<SUP>3</SUP>H-GRI13808と特異的に結合した膜標品に高濃度のシサプリドを添加すると,<SUP>3</SUP>H-GRI13808は急速に受容体から解離し,シサプリドは<SUP>3</SUP>H-GR113808と同一部位に結合することが示唆された,シサプリドの<SUP>3</SUP>H-GRII3808に対する阻害作用は濃度依存的であり,高濃度では完全に阻害した.結合阻害定数(K<SUB>i</SUB>値)は70nMであり,5-HT<SUB>4</SUB>受容体への親和性は5-HTの約1.9倍,5-メトキシトリプタミンの約7.3倍,モサプリドの約4.3倍,ザコプリドの約11倍,メトクロプラミドの約26倍であった.ドンペリドンの親和性は非常に弱く,マレイン酸トリメブチンおよびナパジシル酸アクラトニウムは親和性を示さなかった.<SUP>3</SUP>H-GR113808結合に対する阻害作用の様式を検討したところ,シサプリドは<SUP>3</SUP>H-GR113808のKd値を増加させ,B<SUB>max</SUB>値には影響を及ぼさなかった.以上の結果から,シサプリドは5-HT<SUB>4</SUB>受容体に対し<SUP>3</SUP>H-GR113808と競合的に結合することが明らかとなった.