著者
中野 和彦 水田 完 山崎 良 宮下 広海 片田 徹 中村 正巳 青山 繁俊
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.605-611, 2012-07-05 (Released:2012-07-27)
参考文献数
14

デュアルエナジー型X線検査装置を用いた覚醒剤(メタンフェタミン)の自動判定システムについて検討を行った.デュアルエナジー型X線検査装置の物質識別能力の理論計算は,高エネルギーのX線及び低エネルギーのX線を照射した場合のX線の吸収差の違いを利用したα-curve modelにより算出した.メタンフェタミンを含む11種類の物質について理論計算を行った結果,メタンフェタミンと有機物,無機物及び金属を識別する可能性が示唆された.市販のデュアルエナジー型X線検査装置を用いて,6種類の実試料(メタンフェタミン,砂糖,うま味調味料,シリカゲル,アルミニウム粉末,鉄粉)の識別を検討した結果,メタンフェタミンと他の物質を迅速に識別することができ,理論計算による結果とほぼ一致した.本手法は,手荷物や郵便物内に隠匿された不正薬物の迅速スクリーニングへの応用が期待できる.