著者
川崎 裕美 海原 康孝 小坂 忍 出路 愛 片野 隆司
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.667-673, 2004-11-30
被引用文献数
4

育児不安軽減のための具体的方法を検討するために,協力の得られた3つの自治体において,母親の育児不安および主観的な健康感,家族機能の感じ方の調査を行った。育児不安感スコアを目的変数とし,母子の背景,健康感および家族機能を説明変数とした重回帰分析を実施した結果,育児不安感スコアと情緒支援感,健康・教育機能感,成育歴の感じ方について有意な関連が認められた。情緒支援感等は,母親が周囲の人々から感じる,また自分自身に対して感じる「大丈夫という感じ」と考えられ,育児不安軽減における「大丈夫という感じ」を育成する重要性が示唆された。具体的支援として,家族,および友人が母親を孤立させない関わり,また,「大丈夫という感じ」の育成を意識した健康教育や相談活動の実施が考えられた。