著者
牟田 京子
雑誌
鹿児島純心女子大学看護栄養学部紀要 = Bulletin of Faculty of Nursing and Nutrition, Kagoshima Immaculate Heart University (ISSN:13484303)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.27-34, 2020-04

【目的】本研究は,初年次教育における「研究活動・レポート作成における不正行為」に関する研究倫理教育の取り組み事例から,今後の研究倫理教育の在り方について考察した。【方法】A大学初年次セミナー受講生に,無記名による自己記入式カード「ネカトかるた」を記入してもらい,学術的文章の倫理に関する講義を行った。各グループで記入されたカードを(1)捏造,(2)改ざん,(3)盗用(剽窃),(4)特定不正行為(ネカト),(5)その他不正行為・規範意識,(6)指示以外の6項目に分類し,その構成比を算出した。【結果】標本数44枚,回収率95%であった。捏造に関する記述をしたものが2%,改ざん20%,盗用31%,ネカト18%,その他不正行為・規範意識を記述したもの20%,研究上の不正行為外6%であった。【考察】ネカトに関して71%の理解度があるものの,教員の指示を正しく受け取れていない学生が26%いることが明らかになった。研究における不正行為の種類と具体的行為,それにより引きおこる問題点をインプットだけではなく,個人活動やグループ活動を行うなど,アウトプットを織り交ぜた双方向・参加型講義を行うことで知識の偏りを確認し,不足する知識を補うことができ,学生の研究者倫理に関する規範意識が涵養される可能性が示唆された。(著者抄録)