著者
牧野 健司
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.71-78, 1996-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17
被引用文献数
1

気管支喘息の本態に対する考えは, 免疫学の進歩と共に変遷があり, 近ごろでは遅発型喘息反応が病態の主たるものとの考えが浸透しつつある。しかしながら即時型反応による気道の狭小化も重要な因子となる。中医学的薬能から考えて, これらの病態に有効と考えられる処方を検討した結果, 既製の方剤では効果は十分ではないと考えられた。そこで, 新たに薬能及び薬理作用から組み立てた方剤を用いて治療を行った。これに用いた処方は, 漢方独特の古典的「証」や中医弁証を考慮せず, 薬効・薬理作用のみを考えて組み立てたものであるが, 優れた効果が認められた。
著者
牧野 健司
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.270-273, 2016-06-01 (Released:2016-09-01)
参考文献数
12

十味敗毒湯は化膿性皮膚疾患,湿疹,蕁麻疹などの適応を持つ医療用エキス製剤であり,皮膚疾患に幅広く用いられる処方として知られている。今回,炎症性皮疹を伴う尋常性痤瘡患者(42 例 83 部位)に対し外用薬と併用して十味敗毒湯を 4 週間以上投与したところ,皮疹重症度スコアは投与 2 週後より有意に改善した。また,部位別(額部・頰部・口周部・顎頚部・胸部・背部・躯幹)に検討したところ,額部および頰部の皮疹重症度スコアは投与 2 週後より有意に改善し,胸部,背部においても改善傾向を認めた。以上の結果から,尋常性痤瘡患者における十味敗毒湯の併用は顔面だけではなく,躯幹における炎症性皮疹を早期より改善することにより,QOL の向上に寄与しうる薬剤と考えられた。