- 著者
-
牧野 健司
- 出版者
- 日本皮膚科学会西部支部
- 雑誌
- 西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
- 巻号頁・発行日
- vol.78, no.3, pp.270-273, 2016-06-01 (Released:2016-09-01)
- 参考文献数
- 12
十味敗毒湯は化膿性皮膚疾患,湿疹,蕁麻疹などの適応を持つ医療用エキス製剤であり,皮膚疾患に幅広く用いられる処方として知られている。今回,炎症性皮疹を伴う尋常性痤瘡患者(42 例 83 部位)に対し外用薬と併用して十味敗毒湯を 4 週間以上投与したところ,皮疹重症度スコアは投与 2 週後より有意に改善した。また,部位別(額部・頰部・口周部・顎頚部・胸部・背部・躯幹)に検討したところ,額部および頰部の皮疹重症度スコアは投与 2 週後より有意に改善し,胸部,背部においても改善傾向を認めた。以上の結果から,尋常性痤瘡患者における十味敗毒湯の併用は顔面だけではなく,躯幹における炎症性皮疹を早期より改善することにより,QOL の向上に寄与しうる薬剤と考えられた。