著者
牧野 哲也 菊地 誠 松能 久雄 小西 二三男
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.904-908, 1993 (Released:2009-06-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

巨細胞封入体を生検組織中に認めた潰瘍性大腸炎重篤例を報告した,症例は73歳の女性で,平成3年5月下痢症状を主訴に近医受診し,精査の結果初めて潰瘍性大腸炎と診断された.2カ月後,症状は再燃増悪し,直腸から下行結腸に至る高度の炎症性変化と生検組織中の巨細胞封入体が認められた.全身的にウィルス学的検索を行ったが,全身感染は証明されず,ulcerative colitis(以下UCと略す)に併発した大腸のサイトメガロ限局感染と考えた,サイトメガロ感染はUC症状増悪の原因と考え,抗ウィルス療法を併用し,症状の改善をみた.