著者
牧野 奨平 坂野 秀樹 旭 健作
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.404, pp.61-66, 2014-01-23

音声分析合成による鼻声の声質改善を目的とし,鼻声発声の分析を行っている.なお,本研究において,鼻声発声をノーズクリップを装着した状態での発声とし,異なるノーズクリップの装着位置で鼻声発声1・2とした.発声継続時間長が長めの鼻子音を収録し,鼻子音の発声区間での長時間平均スペクトルと,帯域分割した長時間平均スペクトルのパワーの時系列を観察・比較した.その結果,鼻声発声における鼻子音の発声区間は,通常発声に比べ630Hz以上の帯域でパワーが減衰すること,その帯域において,時間経過に伴いパワーが減衰することがわかった.また,鼻声発声することによって,通常発声で見られる400Hz付近の山が100〜200Hzに移動することがわかった.これらの結果から,鼻声発声1の周波数特性の傾向が通常発声と鼻声発声2のものの間にあると考えられる.