著者
犬飼 和夫
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要第4号 2021 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College Vol.4 2021 (ISSN:24356530)
巻号頁・発行日
no.4, pp.155-164, 2021-04-01

目的:視覚障害教育における算数・数学に関する研究発表について,内容を分析し,プログラミング教育を検討するための課題を明らかにする.方法:平成18年度から平成30年度までの全日本盲学校教育研究大会において発表された算数・数学に関する研究を年齢段階,教科の内容,指導要領に示された配慮事項によって分類し,考察した.結果:対象となった研究は27件で,小学部5件,中学部8件,高等部11件,その他3件であった.教科の内容別ではA数と計算14件,B量と測定3件,C図形6件,D数量関係6件であった.配慮事項別では配慮事項(1)が15件,配慮事項(2)が0件,配慮事項(3)が4件,配慮事項(4)が21件,配慮事項(5)が0件であった.考察:教科の内容と配慮事項の関係を考慮して,研究内容のキーワードから分類すると1)一人一人の視覚障害の状態に適した操作教材によるイメージづくり,2)情報機器を活用した触覚,音声教材,3)個に応じた基礎的内容の3つの指導の観点を見出すことができた.結論:基礎的な内容を一人一人の実態に応じた操作活動ができる適切な教材によって,イメージづくりをすることによって概念を形成していくことが必要であることが示唆された.