著者
田口 鉄久
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要第4号 2021 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College Vol.4 2021 (ISSN:24356530)
巻号頁・発行日
no.4, pp.137-146, 2021-04-01

教育・保育・子育て支援における教育と福祉の連携・協働の現状と課題を明らかにしたうえで,今後の方向性を検討した.その結果以下の3点が重要であるとした.1,学校教育と子どもの福祉に関しては,スクールソーシャルワーカーの役割が大きいこと,また地域福祉との関連では,地域学校協働活動推進のためのコーディネーターの役割が大きいことを示した.2,保育分野においては教育と福祉が一体になった新たな施設,幼保連携型認定こども園の積極的評価の必要性を示した.3,子育て支援事業においては,子ども・保護者の入所(入園)希望を満たすための量的論議から,教育と福祉の視点に立った保育・子育ての内容充実等,質的論議への転換の重要性を示した.
著者
犬飼 和夫
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要第4号 2021 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College Vol.4 2021 (ISSN:24356530)
巻号頁・発行日
no.4, pp.155-164, 2021-04-01

目的:視覚障害教育における算数・数学に関する研究発表について,内容を分析し,プログラミング教育を検討するための課題を明らかにする.方法:平成18年度から平成30年度までの全日本盲学校教育研究大会において発表された算数・数学に関する研究を年齢段階,教科の内容,指導要領に示された配慮事項によって分類し,考察した.結果:対象となった研究は27件で,小学部5件,中学部8件,高等部11件,その他3件であった.教科の内容別ではA数と計算14件,B量と測定3件,C図形6件,D数量関係6件であった.配慮事項別では配慮事項(1)が15件,配慮事項(2)が0件,配慮事項(3)が4件,配慮事項(4)が21件,配慮事項(5)が0件であった.考察:教科の内容と配慮事項の関係を考慮して,研究内容のキーワードから分類すると1)一人一人の視覚障害の状態に適した操作教材によるイメージづくり,2)情報機器を活用した触覚,音声教材,3)個に応じた基礎的内容の3つの指導の観点を見出すことができた.結論:基礎的な内容を一人一人の実態に応じた操作活動ができる適切な教材によって,イメージづくりをすることによって概念を形成していくことが必要であることが示唆された.
著者
みやざき 美栄|山崎 めぐみ
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要第4号 2021 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College Vol.4 2021 (ISSN:24356530)
巻号頁・発行日
no.4, pp.65-78, 2021-04-01

保育士養成校に限らず,ピアノ実技指導は対面で行うことが一般的である.2020年は,新型コロナウイルス感染症の影響により,至る所でこれまでの一般的が通用しない未曾有の事態に直面した.本稿では,その事態に対応するために試みた遠隔でのピアノ実技指導の実践報告と,調査結果からその有用性について検討する.近年,ICT技術の目覚しい発展に合わせてICT教材のツールも進化し続けている.遠隔ピアノ実技指導は,Googleが提供している教育機関向けのグループウェアツールやソフトウェア・アプリケーションなどが含まれるGsuite for Educationを活用し,主にGoogle Meet ,Google Classroomを用いた.対面ピアノ実技指導での進度と遠隔ピアノ実技指導での進度を比較した進度調査,学生へのアンケート調査を行った結果,本研究方法での遠隔指導が,ある一定の効果があることが分かった.対面指導が困難になった場合,遠隔指導の有用性は大いにある.一方,対面・遠隔のそれぞれの実施が,学生個人によって違った影響を与えていることも分かった.どちらが良いというわけでなく,向き・不向きがあると考えられる.対面授業が対応できない未曾有の事態への対応として,実技指導の備えの必要性と,「ICTを併用した対面ピアノ実技指導」を今後のピアノ実技指導の一案として提案した.
著者
松倉 信幸
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要第4号 2021 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College Vol.4 2021 (ISSN:24356530)
巻号頁・発行日
no.4, pp.95-104, 2021-04-01

円滑なコミュニケーションを行うために,話し手と聞き手との間の人間関係により,ことばの選択が行われる.本稿は,「相手との心理的距離感」をあまり感じさせない対人コミュニケーションについて,ブラウン&レヴィンソンの主としてポジティブ・ポライトネスおよび「フェイス侵害度」を理論的根拠として,日英語間に見られるコミュニケーションの差異についても念頭に置き考察を加えた.具体的な事例分析について,第1に着目した点は,相手との心理的距離を縮める呼称および人称代名詞である.第2点は相手との心理的距離を縮める付加疑問,命令文,および現在分詞などの文法構造である.そして,第3点目は,積極的表現,欠点を表明する表現,そして相手の視点から見る呼びかけ語を用いた表現について,日英語における表現の差異について分析を試みた.