著者
狩野 奈々 北原 茂 平野 慶二
雑誌
長崎県水産試験場研究報告 (ISSN:03888401)
巻号頁・発行日
no.37, pp.7-10, 2011-12

2009年7月に有明海,橘湾や八代海において,Chattonella赤潮が広範囲かつ高密度に発生し,養殖魚類で甚大な被害が発生した。長崎県海域ではハマチ,ヒラマサ等約25万尾,約4億3千万円と本県で歴代2位となる漁業被害が発生した。熊本県では約8億7千万円,鹿児島県では約20億3千万円の漁業被害が発生し,3県の被害総額は約33億円であった。赤潮等を対象とした漁場環境のモニタリング調査は定点観測が主体で行われており,モニタリング調査の充実は赤潮対策を検討する上で重要な役割を果たしている。赤潮の挙動を正確に把握するためには,調査定点数や調査頻度を増やす必要があるが,時間的制約や人的制約を受け困難な状況にある。そこで,詳細な観測データが得られる多項目水質計とGPSロガーを併用し,連続的にデータを取得できる走行型の水質連続観測について,通常の定点観測と並行して2010年7月20日に橘湾で行った調査事例を挙げ,それぞれの水質結果から水平分布図を作成し検証したので紹介する。