著者
猪俣 恵
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 = The Journal of Gifu Dental Society (ISSN:24330191)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.115-122, 2020-03

自然免疫は微生物に対する防御ならびに炎症反応の開始に重要な役割を果たす。抗菌ペプチドは進化的に保存された自然免疫の1つである。何百もの抗菌ペプチドが好中球や上皮細胞より合成され存在する。中でもヒトcathelicidinペプチドのLL-37は抗菌特性に加えて、多様な免疫調節機能を有する。近年ではLL-37が乾癬や全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患、またアテローム性動脈硬化症や歯周病といった炎症性疾患の病態に関与していることが明らかにされている。この総説ではLL-37の自然免疫における役割、さらには自己免疫疾患および炎症性疾患への関与について近年の知見を報告する。