著者
猪狩 英俊
出版者
ヴァン メディカル
巻号頁・発行日
pp.8-13, 2017-03-10

IGRAは潜在性結核感染症の診断に有用な検査手段である。基礎疾患別に、潜在性結核感染症から活動性結核を発病するリスクが知られており、臓器移植後、血液透析、TNF阻害薬使用などが該当する。しかし、このような免疫抑制状態にある者は、IGRAを実施しても十分な免疫応答が得られず、正しく潜在性結核感染症の診断ができない可能性がある。そして、これを補う手段は現時点ではない。免疫抑制治療時のIGRAでは、免疫応答の低下による影響を想定し、陰性を過大評価せず、結核の発病リスクを意識した日常診療が求められる。