著者
近藤 圭太 山北 喜久 玉井 宏明 岡崎 誉
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.735-740, 2020-12-28 (Released:2020-12-28)
参考文献数
20

背景・目的:超高齢者が緊急入院すると,廃用症候群に陥りやすく,入院期間も長びき予後も悪くなることが問題となる。これに対し早期リハビリテーションの効果が期待されるなか,当院の現状を調査し検討した。方法:2017年度の1年間で,救急車搬送され入院となり理学療法を施行した超高齢者243人を対象とし,入院後48時間以内にリハビリテーション開始の早期リハ群と,以降の非早期リハ群に分け,早期リハの効果を,退院時転帰,在院日数などにつき検討した。結果:退院時転帰は,退院,転院,死亡で2群間に有意差はなく,平均在院日数が早期リハ群で縮減した(16.9±11.3日vs 21.8±12.6日,p=0.0195)。疾患別にみると,脳血管系と整形外科系で早期リハ群が多かった。結論:緊急入院した超高齢者に早期リハを行うことは,退院時転帰に有意差はなかったが,在院日数を有意に縮減した。在院日数縮減は廃用症候群の予防や病床回転率に寄与し,超高齢社会に向けての1つの対策となり得る。