著者
玉木 峻 腰塚 悠貴 篠村 知子
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.79-86, 2023 (Released:2023-02-04)
参考文献数
33
被引用文献数
1

カロテノイドは食品,化粧品,医薬品の分野で私たち人間の生活を豊かにする脂溶性色素分子である。カロテノイド自体は植物や藻類などの光合成生物において生合成され,光合成や光防御といった光環境に関わる多様な機能を持っている。特に,紅藻の二次共生によって成立したユーグレナ藻,珪藻,渦鞭毛藻など微細藻類群は,陸上植物や緑藻にはない多種多様なカロテノイド(ジアジノキサンチンなど)を生合成するが,その生合成経路や光環境に対する生理機能については未解明な部分が多い。本稿では,二次共生藻類の中でも,産業利用での研究開発が目覚ましいユーグレナについて取り上げ,ユーグレナにおけるカロテノイドの生合成経路やカロテノイドを介した光環境への適応機構に関して,最近の研究成果を紹介する。