著者
玉置 宏之 吉澤 晃 鳥越 昌隆 佐藤 公一
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.130-135, 2002-06-15
被引用文献数
1

チモシー1番草の耐倒伏性の効果的な改良方法について知見を得るため,栄養系およびその後代系統の耐倒伏性の指標を調査した。後代系統の倒伏程度は6-10日間隔で3回調査されたが,その傾向は互いに異なっていた。またその親子相関は,耐倒伏性の指標を調査した時の生育ステージの親子間差が最も小さい場合に最も高かった。以上のことからチモシー1番草の耐倒伏性は,生育ステージごとに異なる要因によって支配されているため,その調査は各生育ステージごとに行われるべきであるが,それら個々の要因の狭義の遺伝率が高いため,1回の個体選抜でも相当程度の改良が期待できると考察された。
著者
玉置 宏之 吉澤 晃 鳥越 昌隆 佐藤 公一 下小路 英男
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.136-141, 2002-06-15
被引用文献数
1

採草用チモシーにおける1番刈後の競合力の効果的な改良方法を検討するため,同一の後代系統を単播条件とシロクローバとの競合条件の2つの試験に供試した。両試験および後代系統の親栄養系に対する調査から,2番草競合力は狭義の遺伝率の高い形質であること,3番草競合力は2番草ほど重要でないこと,および競合条件の試験を行わずに競合力を的確に推定することは困難であることが結論された。これらのことからチモシーの競合力は,それが競合条件下で検定されていれば,1回の個体選抜でも相当程度改良できると考えられた。
著者
足利 和紀 玉置 宏之 出口 健三郎 佐藤 公一
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.19-23, 2008-04-15
被引用文献数
4

チモシー1番草における栄養価関連形質の広義および狭義の遺伝率を把握するため,15の栄養系とその後代系統を同年同一圃場で栽培し,近赤外分析法(NIRS)を用いて栄養価関連形質を推定した。その結果,栄養価に関する3指標(低消化性繊維(Ob)/細胞壁物質(OCW),0b含量および可溶性炭水化物(WSC)含量)は(1)狭義の遺伝率が高く,(2)指標相互間の遺伝相関は効率的な並行改良が可能である相関か,もしくは弱い相関で,(3)同一熟期内であり,収量性で選抜がなされた材料においては,乾物重とこれらの指標との遺伝相関は弱かった。したがって,これら3指標を用いた個体選抜で効率的な改良が可能であり,また指標相互間の並行改良および収量性と栄養価の並行改良は可能である,との結論に達した。
著者
玉置 宏之 吉澤 晃 藤井 弘毅 佐藤 公一
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.52-54, 2004-04-15

チモシー種子収量性の効率的改良に供するための簡易検定法の開発を試みた。チモシーの種子収量は1穂種子重,さらには穂1cmあたり種子重(種子密度)と密接に関連しているため,少数の穂から実際に採種を行い,その1穂種子重や種子密度を調査する方法が簡易検定法として適当と考えた。この考えに基づき,圃場の株から引き抜かれた節間伸長茎を以後温室内で水栽培する方法の有効性について検討した。2002年5月に圃場から引き抜かれた節間伸長茎を温室内で採種時まで水栽培した結果,それらの1穂種子重と種子密度は,特に2000年の圃場試験の結果とよく一致したため,この方法はチモシー種子収量性の簡易検定法として有効であるとの結論に達した。
著者
玉置 宏之 吉澤 晃 藤井 弘毅 佐藤 公一
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.47-51, 2004-04-15
被引用文献数
1

牧草の種子収量性は茎葉の収量性ほど考慮されないが,牧草品種の商業的な成功には種子収量性も重要な要素である。チモシー種子収量性の年次変動と狭義の遺伝率を調べるため,栄養系とその後代系統を採種試験に供試した。その結果,チモシーの種子収量性には(1)試験年次など,環境が変わることにより序列が大きく変化しうること,および(2)同一環境条件下で評価・推定される狭義の遺伝率が高いこと,という2つの特徴があり,したがってその効果的な改良のためには,1回の検定を基に選抜を行う場合は複数回の選抜が必要となり,また1回の個体選抜しか行わない場合は複数の環境条件下における検定が求められる,との結論に達した。