著者
王 宛亦
出版者
芸術学研究会
雑誌
芸術学論集 (ISSN:24357227)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.11-20, 2021-12-31 (Released:2021-12-29)

現在、大学の魅力の伝達や知識の活用などの目的で、大学OCW(Open Course Ware)からの情報発信が行われるようになっている。しかしながら、各大学でのOCW活動を推進していく際、利用が不十分、認知度が低いといった問題があった。本研究では、OCWにおける利用率を向上させる方策の検討を目的として、聞き取り調査と印象評価実験を行った。まずは国内で積極的にOCWの取り組みを進めている4つの国立大学(北海道大学、東京大学、名古屋大学、京都大学)のOCWについて、運営管理側への聞き取り調査を行った。インタビュー結果から、運営管理の現状、ビジュアルデザインへの取り組みなどを確認できた。次に利用者が感じる印象と実際の利用状況を考察するために印象評価実験を実施し、利用者へのアンケートによる評価と、その利用過程における録画データの観察調査を分析した。分析の結果、北海道大学の評価が高かった。その理由は、北海道大学は統一されたビジュアルデザインで、一貫したイメージを打ち出していたからだと考えられた。これらから、4つの大学のOCWについて、利用者が感じる印象と実際の利用状況を確認することができた。さらに、分析と考察を踏まえ、OCWにおける利用者がコンテンツを探す行動には共通の利用経路が存在することがわかった。今回の調査研究を通して、ビジュアルデザインの視点から、次の3点を国内におけるOCWの課題として提示した。1)イメージを探る、2)広報活動、3)インタフェースデザインの改善。