著者
石崎 和宏 王 文純
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.31, pp.55-66, 2010-03-20

本研究の目的は,美術鑑賞学習におけるメタ認知の役割を明確にすることである。その方法は,まず先行研究のレビューから,美術鑑賞学習とメタ認知のかかわりについて,発達や熟達化,転移,学習者の資質の観点から考察する。また,鑑賞スキルや思考の構造化を方略的知識としてメタ認知するよう促す事例を示し,美術鑑賞学習におけるメタ認知の有効性と今後の研究課題を検討する。その結果,鑑賞スキルを方略的知識としてメタ認知することが中学生以降において可能であることを確認し,また,知識や思考の構造化を方略的知識としてメタ認知することが熟達化や転移を促し,鑑賞の深化にも有効であることを指摘した。一方,メタ認知の精度と鑑賞の質,そして多様な学習者や環境などとの相関分析が今後の課題であるとした。
著者
王 文純 石崎 和宏
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.30, pp.465-476, 2009-03-21

本研究の目的は,1)鑑賞スキルの熟達化は学習によってどのくらい促されるかの検証,2)習得した鑑賞スキルが作品探究の方策として機能するかについての検証,3)鑑賞スキルの熟達化における転移のかかわりの明確化である。方法は,大学生への学習プログラム(5ユニット)を開発し,その調査結果の量的分析と事例分析による考察である。その結果,学習プログラムによる鑑賞スキルの熟達化は,熟達化の三つの指標値の有意な高まりで示された。また,鑑賞スキルは,その学習後に支援がなくても能動的に活用され,作品を探究する方策としての機能が確認された。そして,鑑賞スキルの熟達化か認められた場合,全体として鑑賞スキルの転移もうまくいっていた。ただし,学習者の資質に応じて転移の詳細は事例ごとに異なるものであった。
著者
石崎 和宏 王 文純
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-13, 1997-03-31 (Released:2017-06-12)

The purpose of this study was to analyze various problems of the definition concerned with the aesthetic development, of the methodology, and of the developmental stage model. The method of the consideration was the critical examination of the pertinent literature on the development of aesthetic sensitivity. The focal point of this study was the developmental issue of aesthetic sensitivity as a fundamental ability in the aesthetic development. With the methodology on the developmental study of aesthetic sensitivity, this study examined some problems of the methodology of Parsons. With the developmental stage model, two hypotheses of Parsons (1987) and Housen (1983) were compared. This study directed its attention to the interactive relationship between cognitive aspect and emotional aspect in the development of aesthetic sensitivity, and the sequence and the developmental factor in the developmental stage. Particularly, as for the developmental factor, recent investigations have suggested the viewpoint related to the inborn character, and the learned character. In the light of recent empirical researches, the influence of the inborn character appears remarkably until adolescence, and there is a high correlation between developmental stage and age. After then, the influence of the environment appears strongly, and it should be noted that culture, training, and learning promote the development of aesthetic sensitivity remarkably. From now on, how we evaluate the environmental factor in art education is thought the subject that should be discussed concerning the hypotheses of the development of aesthetic sensitivity.
著者
王 文純 石崎 和宏
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.465-476, 2009-03-21 (Released:2017-06-12)

本研究の目的は,1)鑑賞スキルの熟達化は学習によってどのくらい促されるかの検証,2)習得した鑑賞スキルが作品探究の方策として機能するかについての検証,3)鑑賞スキルの熟達化における転移のかかわりの明確化である。方法は,大学生への学習プログラム(5ユニット)を開発し,その調査結果の量的分析と事例分析による考察である。その結果,学習プログラムによる鑑賞スキルの熟達化は,熟達化の三つの指標値の有意な高まりで示された。また,鑑賞スキルは,その学習後に支援がなくても能動的に活用され,作品を探究する方策としての機能が確認された。そして,鑑賞スキルの熟達化か認められた場合,全体として鑑賞スキルの転移もうまくいっていた。ただし,学習者の資質に応じて転移の詳細は事例ごとに異なるものであった。