著者
津止 健市 Tsudome K. 琉球農業試験場
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.64-66, 1963-05

1)トウモロコシで飼育したミツボシキバガ各期の発育日数は夏季において卵期間3日、幼虫期間22日、蛹期間13日、冬季では卵期5日、幼虫期35日、蛹期25日で卵から孵化した幼虫が成虫になるまでの期間は夏季28~42日冬季49~71日を要した。2)成虫の寿命は絶食状態で4~5日、1雌の産卵数は101粒であった。3)幼虫は4回脱皮して5令を経過し、幼虫の発育にともなう脱皮毎の頭巾は1種の対数曲線を描いて増加する。4)卵寄生蜂 Trichogramma australicum を大量増殖するための代用寄主としては何ら支障はなく、むしろ実用性が高いと思われる。
著者
砂川 浩一 我那覇 伊昭 Sunakawa K. Ganaha I. 琉球農業試験場八重山支場
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-16, 1967-05

夏植原料茎を基として,節位による節間長,節間重,Brixについて調査したがその概要は次のとおりである. 1.節位による節間伸長は第二次分けつ茎において最も大きくついで第一次分けつ茎,母茎の順であった.なお節間伸長量の大きくなる時期は母茎において2回(9~10月と4~5月)第一次,第二次茎においては各1回(4~5月)であった. 2.倒伏茎と立茎について節間伸長を比較すると第25節までは直立茎の伸長量が大で,それ以降は倒伏茎の方がまさっていた. 3.施肥量別の節間伸長量を比較すると大きな差はなかったが,標準区より2倍区において幾分優っていた. 4.節間重においても節間長と類似した傾向がみられたが,その差は節間長程でなかった.節間重の大きくなる時期も節間長と同時期であったがこれらの結果について,第一次分けつ茎を母茎より7~8節ずらし,第二次分けつ茎を第一次分けつ茎より5~6節ずらすと同一型のグラフとなり,第二次分けつ茎の生長量が最も大きく,次で第一次,母茎の順であった. 5.節位によるBrixの変異をみると分けつ茎別では第二次分けつ茎が第一次分けつ茎および母茎よりも高く,母茎と第一次茎の間には差はなかった.また倒伏別では直立茎が倒伏茎より若干優り,肥料別では2倍区より標準区が若干優っていたが大きな差はなかった. 6.登熟に伴うBrixの変化は各区とも,節位によって類似した傾向がみられた.
著者
当山 清善 金城 清郎 Toyama Seizen Kinjo Seiro 琉球農業試験場
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.38-41, 1963-12

パインアップルの夏実及び冬実の糖及び酸の含量と罐詰糖度との関係を明らかにし、これが罐詰の品質に及ぼす影響等を検討した。1.果実の品質に最も関与する糖及び酸の含量は収穫時期等により異なるのでこれに応じた製造加工を行う必要がある。2.罐詰製品の品質の均一化を図るためには糖度と酸度のバランス、即ち糖酸比を品質管理の指標とすることが妥当である。3.夏実及び冬実罐詰における糖酸比を比較した場合両者に著しい差異があり、これを是正するためには冬実の酸度を調節する必要がある。4.現行罐詰糖度規格においては夏実及び冬実罐詰の砂糖所要量の差が著しい。
著者
金城 賢 吉元 寛 琉球農業試験場名護支場
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.38-39, 1963-05

(1)有効茎数 第3表第2図61/60年期62/61年期の結果によると標準区より催芽苗区は茎数が多く苗令数が有効茎数に及ぼす影響は判然としない。(2)茎長ブリックス 苗令1.5枚、2枚区は標準区より10糎以上高く催芽処理の効果が稍あらわれておりブリックスは苗令数の多い程上昇する傾向である。(3)蔗茎重量 標準区に比し催芽処理苗区は極めて高率の増収を示し苗令2枚区は44.8%苗令1.5枚区41.5%苗令2.5枚区30.1%苗令1枚区21.4%苗令3枚区19.5%の順位で苗令2枚を頂点として苗令数が多くなれば蔗茎重量は逐次減収する傾向にある。(4)第3表の結果61/60年期に対して62/61年期が茎数茎長ブリックス蔗茎重量と低下した原因は61年9月14日の台風18号と10月2日の台風23号の被害が生育後期の甘蔗の回復に影響し減収したものと思われる。実験結果から見ると保温催芽苗利用による春植甘蔗の増収法試験は国頭礫層地帯では増収効果が明らかである。実験の範囲内では苗令2枚区が最も催芽効果が大きく苗令1.5枚区はこれに次いでいる。春先の定植当時は低温で且つ日照時間が少い為5粍及至10粍程度の降雨量があれば苗令1枚区苗令1.5枚区苗令2枚区は植傷み障害は殆んど表はれないので定植時の最も完全な苗令数は1枚~2枚が限度と思われた。
著者
大城 安弘 Oshiro Yasuhiro 琉球農業試験場
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.9-18, 1970-05

本稿はカンシャシンクイハマキ Tetramoera schistaceana Snellen の羽化と産卵におよぼす照明と暗の影響を調査し,その結果をまとめたものである. 1)自然状態における羽化時刻は2~3月で17~21時の4時間で全体の52%が羽化し,7~17時までの日昼でも33%が羽化している.7~8月では17~21時間に68%,日昼で24%が羽化している. 2)25℃で1~2月の日長下では17~21時間に72%が羽化し,日昼は5%しか羽化してない.前蛹期処理24時間照明区の場合,17~21時間に21%,日昼は42%が羽化した.暗区は17~21時間に31%が,日昼は52%が羽化している.羽化前処理照明区は17~21時間に13%が,日昼は47%が羽化し,暗区は17~21時間に25%が,日昼は49%が羽化している. 3)受精卵率で,野外が平均82%,25℃無処理区が83%,暗区が70%,照明区は9%となっている.受精個体数は野外19頭中18頭,無処理区17頭中16頭,暗区18頭中13頭,照明区19頭中2頭となっており,照明によって受精個体数,受精卵率の低下することがわかった. 4)産卵前期は野外が2.8日,25℃無処理区が1.2日,暗区が1.6日,照明区が5.1日となっている. 5)産卵期間は野外が8.8日,他の三者は7.4―7.6日で差はなかった. 6)産卵数は25℃無処理が平均208個,野外199個,暗区190個で,照明区は81個となっており,照明によって産卵数の減少することがわかった. 7)羽化後産卵最盛日までの日数は,25℃無処理の4.6日ともっとも短かく,暗区の5.5日,野外の5.9日,照明区の8.8日となり,めす成虫寿命は無処理区8.8日,暗区9日,野外11.6日,照明区12.3日となっている. 8)以上のことから24時間明るくしたり,暗くしたりすることは,羽化時刻を乱すことを示している.それは処理時期が早くなればなるほどより強くなっている.また24時間照明することによって,交尾,受精卵率,産卵数,産卵前期などが強力に抑制される.24時間暗区も,受精卵率,受精個体数,産卵数など抑制されるが,照明区ほどでない.これらのことから,受精卵を多く得るには一定時間毎の明暗が,また交尾,産卵には暗が必要であると考えられる.