著者
立川 史郎 瓜田 元美 渡邊 篤 澤口 勇雄
出版者
東北森林科学会
雑誌
東北森林科学会誌 (ISSN:13421336)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-6, 2011-05-31

今日わが国では非常に数少なくなった馬搬作業について,2009年1月および2009年11月に宮城県内で調査し,今後における馬搬作業存続の可能性について検討した。木寄せ・積込み作業と荷降ろし作業は全体の作業時間の44〜69%を占め,労働負担の高い作業であった。馬搬作業の搬出功程は搬出距離50〜500mで2.5〜12.0m^3/日であり,小型運材車による搬出功程に匹敵した。搬出路のコーン指数の増加率は深さ20cmまでで14〜34%であったが,同一深さでクローラ式車両は72〜154%,ホイール式車両は48〜74%であり,土壌の締め固めは集材用車両と比較してかなり小さかった。馬搬作業は今後,木寄せ・積込み作業や荷降ろし作業の改善などの技術的課題や後継者問題などの社会的課題が克服されれば,わが国の小規模な搬出現場に適合した環境負荷の少ない搬出方法として,今後も存続の可能性があると結論された。