著者
田中 奈緒美
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.170, pp.130-137, 2018 (Released:2020-08-26)
参考文献数
10

本稿は,日本語会話において,話題転換時の新規話題導入発話の冒頭で用いられる「話題開始のための談話標識」を,聞き手の談話理解の手がかりとして分類することを目的とし,「BTSJによる日本語話し言葉コーパス」に収録された日本語母語話者による初対面雑談会話 (47会話,計13時間40分) で観察された当該表現について,聞き手が汲み取る情報の種類により分類した。その結果,観察された表現は,「①談話間の連接関係に対する話し手の認識」,「②談話内容に対する話し手の態度」,「③話し手の心的操作」の大きく3つに,さらに①と②は,「① a前後の談話の論理関係」「① b後続発話の導入理由」,及び「② a先行発話内容に対する態度」「② b後続発話内容に対する態度」のそれぞれ2つに分類することができた。