著者
田中 巧
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.47-53, 2016-02-20 (Released:2016-05-20)
参考文献数
14

化粧料用の表面処理技術はここ約30年で飛躍的に発展してきた。耐水性・耐油性の向上による化粧崩れの防止,感触の改良,皮膚への付着性の向上,などを目的として行われてきた。本報では,とくに水にかかわる無機顔料粉体の表面処理の及ぼす特徴について述べる。とくに,水分散性の向上を図るカチオンポリマー,また,pH応答性能を有するアニオンポリマーでの表面処理顔料の特性について,結果を報告する。さらに,ポリアクリル酸エステル球状粒子の加水分解による表面改質で表面にカルボキシル基グループを導入することで,もともと疎水性であったポリアクリル酸エステル球状粒子を親水化するとともに,この粒子を水に分散させるとこの表面に未処理無機酸化物顔料粒子がきれいに付着して水に分散できることを見いだした。また,ジェミニ型化合物の表面処理では,界面活性剤なしで液状エマルジョン化できることも見いだしたので報告する。