著者
田中 春菜
雑誌
書道学論集 : 大東文化大学大学院書道学専攻院生会誌 (ISSN:13489313)
巻号頁・発行日
no.17, pp.77-86, 2020-03-31

本稿は、後水尾院(一五九六―一六八〇)を中心とした後水尾サロンに見える書の活動を概観していくと同時に、その構成員のなかで着目される機会の少なかった中院通村(一五八八―一六五三)と藤谷為賢(一五九三―一六五三)を書文化形成を担った主要人物として取り上げ、これらの人物についての先行研究をまとめ、今後の研究の意義や目的を見出すためのものである。ここでは、主な先行研究を概観し、今後の研究課題を整理していく。また、これまで書道史研究では、後水尾サロンにおける文化活動について述べられることは少なかった。この時代に行われた書の活動は、後水尾院を中心に行った文化活動、特に歌と茶と複雑に絡み合って展開されていく。よって、後水尾サロンについての概要とそこで行われた書の活動も確認する。