- 著者
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田中 正博
- 出版者
- 一般社団法人 日本特殊教育学会
- 雑誌
- 特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.3, pp.23-32, 1996-11-30 (Released:2017-07-28)
- 被引用文献数
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7
4
本研究は障害児をもつ家族180家族360名を対象に、健常児をもつ家族210家族420名との比較に基づいて、家族機能(充実した家族の連帯感・家族の決まり)と母親のストレスとの関係を明らかにした。質問紙法による調査の結果は次のようになった。(1)障害児をもつ母親は健常児をもつ家族に比べ、すべてのストレス項目で有意に高かった。また、「充実した家族の連帯感」は健常児をもつ母親・父親で有意に高く、「家族の決まり」も定まっていた。(2)夫婦関係や母親自身の悩みは満足した家族の連帯感によって軽減される。(3)障害児をもつ家族の場合、高ストレスを示す母親は「充実した家族の連帯感」が有意に低かったのに対して、その家族の父親では有意に高かった。父親と母親の間で家族認知の葛藤について考慮する必要性が示唆された。