著者
藤井 秀則 山本 広幸 田中 猛夫 谷川 允彦 村岡 隆介
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.1681-1686, 1992-07-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

近年腹部超音波検査の進歩と普及により肝嚢胞の診断が容易となり,発見の機会は増加している.当院における1990年1年間の腹部超音波検査件数は約5,100件で168例(3.3%)に肝嚢胞を認め,大きさでは直径4cm以下がほとんどで8cm以上は3例であった.巨大肝嚢胞例2例に対し超音波ガイド下によるエタノール少量注入を施行し良好な結果を得た.自験例を含めた本邦報告例66例の検討では,注入薬剤はエタノール62例,塩酸ミノサイクリン4例であった.注入方法としては超音波ガイド下に7~8Frのピッグテールカテーテルを嚢胞内に挿入して行うのが一般的で,注入後10~30分の体位変換を行い排液する.エタノール注入例を検討すると, 1回の注入量は少量にとどめ,注入後は排液を充分に行い,持続ドレナージを行い2回あるいは3回以上の反復注入をするのが最適と考えられた.