- 著者
-
田久 朋寛
- 出版者
- 日本笑い学会
- 雑誌
- 笑い学研究
- 巻号頁・発行日
- no.22, pp.34-46, 2015-08-01
大道芸の盛り上がりは、演技を行う大道芸人の技量のみならず、気候や椅子の有無といった空間特性を含めた環境的要因に大きく依存すると考えられる。本稿では、どのような環境的要因が大道芸の盛り上がりにどの程度影響を与えているのか、統計解析により定量的に分析することを試みる。そのために2012年10月から12月にかけて、同一の演者による大道芸を実施し、43回分のデータを採取した。そのうち、欠損値のない39回分のデータを使用し、盛り上がり(集客数)を従属変数、環境的要因を説明変数とする重回帰分析を行った。分析の結果、5%の有意水準で盛り上がりやすいことが確認できたのは、気温が高い時、直射日光の影響を受けない時、開始直前の人数が多い時、火気を使用した時であった。また、10%の有意水準で、演技者が拠点とする関西地方の方が東海地方より盛り上がりやすいという傾向が見られた。本稿の分析結果は、大道芸の演出技術や、大道芸に関する政策に対して重要な示唆を含むものである。