著者
薄田 治夫 田之上 慎一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.43-46, 1994
被引用文献数
3

腹部膨満, 元気沈衰し努責を繰り返した12歳雌の北海道犬に巨大な肝嚢胞を認め, 肝葉を部分切除した. 嚢胞は単発, 単房性の真性嚢胞であったが, 摘出肝組織の一部に腫瘍性病巣が認められた. 術後の経過は順調であったが, 術後8ヵ月のX線検査により, 肝臓後縁部に腫瘤の増大が確認され, 2ヵ月後に予後不良として安楽死させた. 部分切除, 剖検両材料とも, 腫瘤は病理組織学的検査により肝芽腫と診断された.