著者
黒木 暢一 堀口 みなみ 田井 博 谷口 正次
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.1225-1231, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
21

症例は69歳女性.腹痛,嘔吐を主訴に来院した.CTにて最大37mm大の含気性の腫瘤像が胃に4個と空腸に1個みられた.空腸の腫瘤は内腔を占め,口側腸管は拡張して腸液が充満していた.柿の嗜好歴があり腫瘤は柿胃石と考え,胃石が空腸に陥頓したものと診断した.腹膜刺激症状はみられず,緊急手術ではなく,まず保存的加療を選択した.イレウス管を挿入し減圧後,コーラ溶解療法を行ったところ,胃石は回腸まで移動した.最終的に回腸に嵌頓したため,経肛門的にシングルバルーン内視鏡を挿入し,鉗子口からコーラを注入,スネア破砕を行い,胃石を回収することに成功した.結石分析はタンニン98%であり,柿胃石に矛盾しなかった.