著者
千住 猛士 増本 陽秀 小柳 年正 田尻 博敬 矢田 雅佳 本村 健太
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.417-424, 2012 (Released:2012-08-09)
参考文献数
18

肝細胞癌の肺転移巣が自然退縮した2例を報告する.症例1は65歳男性.肝細胞癌に対して肝動脈塞栓術(TACE)による治療を繰り返していたが,初発から1年7カ月後に多発肺転移が出現した.積極的治療を行わず経過観察したところ,2カ月後に肺転移巣はほぼ消失した.症例2は78歳女性.肝細胞癌に対する肝切除術後の多発再発に対してTACEによる治療を繰り返していたが,初発から5年後に多発肺転移が出現した.積極的治療を行わず経過観察したところ,6カ月後に肺転移巣は著明に退縮した.肺転移巣自然退縮の機序は不明であるが,症例1は飲酒喫煙を止め,NSAIDを頻回に服用しており,症例2は健康食品の核酸を摂取していた.