- 著者
-
田崎 亮子
- 出版者
- 日本外科代謝栄養学会
- 雑誌
- 外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.4, pp.133-138, 2022-08-15 (Released:2022-09-15)
- 参考文献数
- 5
GLIM基準において, 体重と体重の変化はアセスメント要因の現症項目となっている. 一方, 胃がん術後は多くの患者で体重減少が起きており, 体重やBMI, 体重の変化は栄養管理上重要な評価項目であると思われる. そこで今回, 胃がん手術を受ける患者の術前のBMIをGLIM診断のアジア人の低BMI基準を使って, 栄養状態の評価に使えるのか分析することを目的とした. 胃がん手術を受けた患者のデータをもとに, 年齢, 性別, がんのStage, 術式, BMI, ALBを調査しGLIM基準のBMIに基づいて分類した群の, 術前と術後1カ月のBMIとALBとの関連を分析した. GLIM基準のアジアのBMIで分けた4群で70歳以上の群 (A群B群) でも, 70歳未満の群 (C群D群) でもBMIの低い群 (B群・D群) がALBも低い傾向が伺えた. また, 年齢を加味せず全体では, GLIM基準の低BMIの「現症」を有している方 (B/D群) が, BMI基準値をクリアしている群 (A/C群) より有意にALBが低いことが分かった. GLIM基準は簡便な方法であり今回の調査でも低栄養の診断に使える可能性があることが伺えた. 超高齢社会の進展の中, GLIM基準は医療に限らず, 介護の分野でも広く使用される低栄養の診断基準ではないかと考えた.