著者
大須賀 惠子 泉 明美 田川 信正
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.176-181, 2001-03-01 (Released:2017-04-20)

目的:骨粗鬆症検診を自主的に受診した住民の,肥満と骨密度との関連を明らかにし,保健指導のあり方を考える.対象と方法:町のイベント時に実施した骨粗鬆症検診を受診した30〜70歳代の女性151名を対象者とし,骨密度測定および生活習慣等に関する自記式調査(厚生省骨粗鬆症検診マニュアルの問診票に準じた全18項目)を実施・分析した.骨密度測定は,超音波式骨密度測定装置(Lunar社A-1000+)を用い右足踵骨で行った.結果:1)本研究においては,肥満度body mass index(BMI)に注目し,骨密度および生活習慣等に関する自記式調査内容との関連を分析したところ,BMI24.2以上群では,骨粗鬆症に随伴する自覚症状の出現率が有意に高いという結果が得られた.2)肥満者(BMI24.2以上)の骨密度に関する要精検率を年齢別にみたところ,50歳未満者では要精検者がなかったが,60歳以上になると肥満者にも要精検者が高い率で現われており,肥満でない者(BMI24.2未満)との差はほとんどなくなっていることがわかった.体重増加は,骨密度を高める関係にあると一般的に考えられているが,本調査においては60歳以上になるとこの関係は見られなくなった.以上のことから,肥満者(BMI24.2以上)を,年齢によらず骨粗鬆症のhigh risk群として位置付け,適切な保健指導を実施することが望ましいと考える.