著者
田川麻央
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.151, pp.34-47, 2012 (Released:2017-02-17)
参考文献数
31

本研究は,要点探索活動と構造探索活動,その両方を促す要点構造探索活動と構造要点探索活動が日本語中級学習者の文章理解に及ぼす影響を検証した。協力者は,国内で高等教育機関への進学を目指す中級日本語学習者86名である。計画は要点探索群,構造探索群,要点構造探索群,構造要点探索群,統制群の一要因被験者間計画である。割り当てられた活動を行いながら因果型の説明文を読んだ後,筆記再生課題と正誤判断課題を行った。データは要点理解,全体構造理解,要点構造の理解の観点から分析した。結果は,要点理解で構造要点探索群が構造探索群や要点構造探索群,統制群より効果があった。全体構造理解には差がなかった。要点構造理解は,構造要点探索群と要点探索群が促進した。以上より中級学習者にとって全体構造の理解は容易ではないが,構造と要点の順番で両方を探索させることが要点理解と要点構造の2つの理解を促進させることが示唆された。